通常、人の目は同じ方向を向いています。しかし、何らかの原因で左右の目が同じ方向を向かず、別の方向を向いていることがあります。この時、視点がずれているほうの目を「斜視(しゃし)」と言います。
斜視があると、目がずれた状態の時は、ものが2つに見えます。ただし、長く斜視の状態にある方は、その見え方に慣れてしまって、自覚症状がないケースもあります。
本人よりも、他人から見た時のほうがはっきりと分かる、外見的な特徴が強い状態と言えるでしょう。
斜視は、ずれの方向によって4つに分けられます。
片方の目が内側、つまり鼻のほうを向いている状態。
片方の目が外側、つまり耳のほうを向いている状態。
片方の目が上側、つまり額のほうを向いている状態。
片方の目が下側、つまり顎のほうを向いている状態。
方向に関係なく、左右の目の傾きにずれが生じている「回旋斜視(かいせんしゃし)」もあります。
これらは、合併して現れることもあります。
斜視の原因には、次のようなものがあります。
遺伝などの理由で、生まれつき斜視があるケースです。例えば、親族に斜視の方がいると、子どもに遺伝する可能性があります。
“一説によると、斜視の人はおよそ3分の1の確率で子どもに斜視を遺伝するようです。”
(自由が丘駅前眼科より引用)
脳の神経や目を動かす筋肉に異常が生じて起こるケースです。
何らかの原因で片方の目のみ視力が低下して、視力が悪い方の目が斜視になるケースです。一般的には外斜視になりやすいと言われていますが、近くのものを見づらい遠視の場合、内斜視になりやすいです。
斜視は、子どもの頃に起こるケースもあれば、大人になってから起こるケースもあります。放置すると、斜視が生じているほうの目の視力が失われてしまう危険性があります。
子どもの場合、将来の職業選択にも関係してくるので、眼科に行って適切な治療を受けましょう。
通常、まずはメガネや目薬を使用したり、「健眼遮蔽(けんがんしゃへい)」と言って、視力が悪いほうの目のみでものを見たりする方法などで治療を試みます。
改善が難しい場合、手術による治療が行われます。
ただし、手術をしても再発するケースが知られています。斜視を完全に治すには、原因を把握して、それを排除することが大切です。
斜視のうち、視力の低下が原因で生じたものは、コンタクトで治療をする場合があります。
例えば、遠視が原因であれば遠視を矯正できるコンタクトを使用することで、近くのものにピント合わせをしやすくなり、目が内側を向きにくくなります。
遠視の矯正に使われるコンタクトは、基本的には近視用と同じです。ただし、度数の選び方に注意が必要です。近視の方は-(マイナス)の度数を選びますが、遠視を矯正する場合、+(プラス)の度数のレンズを使います。
遠視が強い場合、通常のコンタクトでは目に合う度数が存在しないケースがあります。2weekPureうるおいプラス強度数用やバイオフィニティ XR
のような、強度近視・遠視用のレンズを使用します。
眼科で検査を受けることで、自分の目に合ったコンタクトの度数が分かります。原因を知り、適切な治療を受けるという面からも、斜視がある方は、一度眼科で検査をしましょう。