40代頃になると手元にピントが合いづらい「老眼」の症状に悩まされます。そんな老眼の症状を改善してくれるコンタクトの一種が「累進屈折力レンズ(るいしんくっせつりょくレンズ)」です。
累進屈折力レンズとは、どんなコンタクトなのでしょうか。今回は累進屈折力レンズについて解説します。
一般的に、老眼の症状の改善には「遠近両用コンタクト」が使われます。累進屈折力レンズは、この遠近両用コンタクトの一種です。遠近両用コンタクトは、度数の配置の仕方によって4つのタイプに分類されます。
①二重焦点タイプ
②二重焦点移行部累進タイプ
③累進屈折力タイプ
④累進複合タイプ
このうち③の累進屈折力タイプが、累進屈折力レンズにあたります。累進屈折力レンズ(累進屈折力タイプ)は、遠くを見る時に使用する度数と、近くを見る時に使用する度数、その間に中間距離を見る時に使用する度数の3種類の度数が配置されています。
累進屈折力レンズは、他のタイプに比べて近い距離の文字やモノを見やすいのが特徴です。このため、デスクワークなどで近くを見る作業が多い方向けのレンズといえるでしょう。
また距離によって視界の鮮明さがあまり変化しないので、ピント調節による目の疲れが生じにくいというメリットもあります。
累進屈折力レンズという名称で販売されている商品は非常に少なく、2021年10月時点でもっとも知られているのはハードコンタクトレンズの「HOYA マルチビューEX」です。
HOYA マルチビューEXは、近くの小さな文字を見るとかすんだり、目が疲れたりするという方をターゲットに販売されています。老眼の症状に悩まされる方はもちろん、近くのものを見る機会が多く、目が疲れやすいという方にもおすすめのコンタクトレンズです。
ハードコンタクトレンズはソフトコンタクトレンズに比べて、慣れるまでに時間がかかりますが、目に異常が生じた際には痛みを感じるため、安全に使いやすいという特長があります。1枚のレンズを2~3年ほど使えることから、コンタクトの使用にかかる費用の節約にもなります。老眼でお悩みの方は一度試してみてはいかがでしょうか?
HOYA マルチビューEXに限って言えば、他のハードコンタクトレンズに比べてつけ心地が軽く、ゴロゴロ感が少ないという感想も見受けられました。ハードコンタクトレンズが初めての方にも使いやすいでしょう。
一方で、ハードコンタクトレンズ特有の硬さはやはりあるようなので、これまでソフトコンタクトレンズを使っていた方は念頭に置いておきましょう。
HOYA マルチビューEXはこちらから購入できます
商品名 | HOYA マルチビューEX |
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レンズタイプ | 遠近両用/ハード |
装用サイクル | 非公開(1週間以上) |
内容量 | 2枚入り |
価格 | 30,800円(税込) |
BC(ベースカーブ) | 7.00~8.40 mm |
DIA(直径) | 9.0/9.3/9.6mm |
PWR/D(度数) | +5.00~-11.00D(0.25Dピッチ) |
ADD(加入度数) | +1.00~+2.50D (0.50Dピッチ) |
中心厚(厚さ) | 0.15mm |
酸素透過係数(DK値) | 125 |
酸素透過率(DK/t値) | 83.3 |
コラム掲載時の情報です
ハードコンタクトレンズは、現在主流のソフトコンタクトレンズとは装用感がかなり異なります。試してみて、どうしても目に合わないという方もいるでしょう。
累進屈折力レンズとは「マルチフォーカルレンズ」とも呼ばれます。累進屈折力レンズという名称こそ使われていないものの、ソフトコンタクトレンズはほとんどがマルチフォーカルレンズなので、ハードコンタクトレンズが目に合わないと感じた方には、ソフトコンタクトレンズの使用をおすすめします。
コストパフォーマンスが良いのは「バイオフィニティ マルチフォーカル」です。2週間タイプのコンタクトであり、同じレンズを14日間使えます。うるおいベールによって、2週間タイプで気になりがちなレンズ汚れの悩みを軽減する工夫が施されているので、捨てる日まで目の違和感やゴロゴロ感が少なく、快適に使えます。実際に使用したユーザーからは、「使い捨てタイプの中ではもっともつけ心地が良い」「かすれ目の症状が軽くなった」などの感想が寄せられています。
一方、近視用に比べて価格が高いことから、コストが気になるというコメントも。コスト重視なら、ハードコンタクトレンズが有利です。
バイオフィニティ マルチフォーカルはこちらから購入できます
商品名 | バイオフィニティ マルチフォーカル |
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レンズタイプ | 遠近両用/ソフト |
装用サイクル | 2週間使い捨てタイプ |
内容量 | 6枚入り |
価格 | 5,480円 |
BC(ベースカーブ) | 8.6mm |
DIA(直径) | 14.0mm |
PWR/D(度数) | +6.00D ~ -6.00D(0.25Dstep) -6.50D ~ -10.00D(0.50Dstep) |
ADD(加入度数) | +1.00D/+1.50D/+2.00D/+2.50D |
含水率 | 48% |
中心厚(厚さ) | 0.10mm |
酸素透過係数(DK値) | 128 |
酸素透過率(DK/t値) | 128 |
ソフトコンタクトレンズ分類 | グループⅠ |
素材名 | comfilcon A |
その他 | UVカット機能あり |
コラム掲載時の情報です
自然に鮮明な見え方を得られる累進屈折力レンズ(マルチフォーカルレンズ)ですが、すべての人の目に合うとは限りません。コンタクトは、目に直接装用する医療機器。眼科医の指示のもと、必ず自分に合った商品を使ってくださいね。