40歳を過ぎる頃から悩まされる方が増えるという老眼。矯正の方法といえば、遠近両用のコンタクトやメガネを使用する方法が一般的です。
最近では、レーシック手術でも治療できるようになりました。
この他、症状や目の状態によっては、「モノビジョン」と呼ばれる方法で老眼を矯正することも可能です。
モノビジョンとは、左右の目に異なる度数のレンズを入れる視力の矯正方法を指します。
人の目は年齢を重ねると、「水晶体」という組織が硬化します。水晶体が硬化すると、近くの物を見た時に、ピント合わせがしにくくなります。この状態が老眼です。
モノビジョンでは、片方の目に近くが見えるように調整されたレンズを、もう片方の目に遠くが見えるように調整されたレンズを装用します。
「それでは片目が見づらいままなのでは」と思われがちですが、脳が自動的に見えている像を補正してくれるので、どちらの目でもはっきりと物が見えるようになります。
前回のコラムでご紹介した不同視も、このモノビジョンの方法で矯正できます。
不同視について、詳細はこちら→左右の視力差が大きい「不同視」は、様々な問題を引き起こす原因に
モノビジョンによる視力の矯正では、コンタクトを使用する他、左右に異なる度数のレンズを入れたメガネを使用することもあります。
モノビジョンによる視力矯正の効果は、すぐに現れるわけではありません。左右の見え方が違う状態に、脳が適応するまでに時間がかかります。適応までの時間は人によって大きく異なるため、すぐに見え方を矯正したい方には向いていません。
加えて人によっては、モノビジョンによる視力の矯正が難しい方もいます。例えば斜位がある方や斜視の方は、モノビジョンにするべきではないと言われています。
メガネの場合、あまりに左右の度数の差が大きいと、見え方が違う状態に脳が対応できず、眼精疲労の原因になることもあります。
“眼鏡をモノビジョンにすると左右の度数が大きく異なると脳が対応しきれず、眼精疲労や頭痛が起こり長時間使用することができません。”
(433.モノビジョンについて|池袋サンシャイン通り眼科診療所より引用)
このように、問題点も多いモノビジョンでの視力矯正は、必ず医師の指示を受けて行わなければなりません。
モノビジョンによる視力の矯正に不安がある方や、医師によってモノビジョンが認められなかった方は、遠近両用のコンタクトをご利用ください。
遠近両用のコンタクトは、レンズに複数の度数が入っているので、装用した瞬間から近くの物も遠くの物も、はっきりと見ることができます。
近視用に比べると種類は限られるものの、ジョンソン&ジョンソン、アルコン、クーパービジョンなど、有名メーカーによって製造・販売されている商品があります。
■ワンデーアキュビューモイスト マルチフォーカル(ジョンソン&ジョンソン)
柔らかな素材でできたレンズは、瞳に自然に馴染みます。加えてレンズのフチが薄くなめらかになっているので、違和感が少なく、スムーズにまばたきができます。
■デイリーズ トータルワン マルチフォーカル(アルコン)
生レンズの別称でお馴染みの、つけ心地に優れた商品です。レンズの表面と中央部で水分の含有量を変えることで、瞳から涙を奪いにくいながらも、柔らかく目に馴染む装用感です。
■バイオフィニティ マルチフォーカル(クーパービジョン)
うるおいベールが様々な汚れの付着を防ぐ、2weekタイプの商品です。コストパフォーマンスが高いので、毎日使用したい方におすすめ。14日間、汚れに悩まされずに使えます。
商品ごとに使用感やつけ心地が変わるので、眼科医と相談して自分に合った製品を見つけ、使いましょう。